なんでもないこと、みーっけた

飽きずに綴っていけたらいいな

ミュージカル『ブラックスーツ』ストーリー覚書とレポと動画まとめ

細かいあらすじと動画まとめとレポをまとめてするという悪行に出たので、めちゃくちゃ長い上に主観が入りまくってます。結末まで書いているのでネタバレ全開です。ブラックスーツにハマってる仲間が少なすぎて寂しいので(少ないっていうかひとり)、少しでも気になるきっかけが作れたらいいなと思って書いてみました。10月13日まで上演してるので是非お時間ありましたら!!いや、わかってるんです、みんな常に枠が足りないってことは…!!そしてこのブラックスーツ、創作で初演なんですけど初日の感想がひどすぎて目を覆いたくなるレベルでした。こんな酷評ある?ってレベルで。でもプレビュー期間中にテコ入れしていったこともあってか回を増すごとによくなってきてるし(贔屓目かな)、俳優さん達の熱演もパワーアップしてるし、曲もいいので、ひとりでも多くの人が観てくれたらいいなって思ってます。酷評とか書くなって感じだけど、わりとみんな知ってると思うし、そこを伏せるのはなんか騙すみたいで嫌だなと。しかし!私は自分の目や耳に自信がないのでよそっしの時同様個人的には何かとツボなミュージカルとして推していきたいと思います。こんな推し方で観る人いる?もはや贔屓目すぎて作品がいいのか私が慣れたのかわからなくなってきたので、冷静な目で観た方の感想が聞きたいです!笑

韓国語能力低すぎて聞き取れていないので、想像で補ってます!!なので間違いや勘違いも多々あるかと思いますのでご注意ください!!!




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ミュージカル<ブラックスーツ>

オープニングナンバー。仮面を持って現れるミニョク。

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※日本語字幕あり

僕は誰なのか
僕の正義 僕の信念は何なのか
正義の女神ディケの閉じられた瞳に涙が溜まり
均衡を決める秤は重く傾き
腹立たしく醜悪な僕の正義
渦巻くような混沌の基準
観点と原則に閉じ込められた正義は何が正しいのか


ある裁判の最終弁論をするチェ・クァンヨル弁護士。被疑者の悲惨な境遇を語りながら、熱く弁護をしていく。

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ーー罪が罪を作ったのなら
原罪に対しての審判を
ーー少年が犯した行動は非難する前に
悲壮な現実を推し量ってみたら


場面は高校時代。幼馴染のハンスとミニョク。そしてギテクとドンジュン。裁判ごっこをする4人で始まる。検事役のミニョクに弁護士役のハンス、それぞれ役になりきって宣誓をするふたり。裁判内容は、『ドナテロ失踪事件』。ミニョクが大切にしていたミュータントタートルズのキャラクターであるドナテロのフィギュアがなくなったというのだ。(8/21追記)起訴内容は、9年前、当時8歳だった彼らに起きた事件について。ミニョクが大切にしていたミュータントタートルズのキャラクターであるドナテロの人形がなくなったというものだ。被告人はギテク。目撃者(8/21追記:証人)であるドンジュンに、検事として様々な確認をしていくミニョク。うまくいった!とドンジュンとハイタッチするミニョクに対して、自信満々なハンスの弁護開始。被告はまだ17歳でとても幼い。(8/21追記:8歳で、幼かった)悪いという認識もできなかった。しかもそのなくなったものは、ミニョクのとてもとても小さな玩具のひとつ。など、堂々と言葉を連ねていく。冗談じゃない!と反論するミニョク。白熱するふたりに、俺が悪かった。小遣いもらったらミュータントタートルズ4匹買ってあげるから、とギテク。不満気味なミニョク。そんな友人に向かってハンスは淡々と続け、理論的な弁護で締める。すげえ!とふたりから称賛を受けるハンスに対して、言い負かされて不満げなミニョク。本物の弁護士みたいだったろ?とギテク達に言うハンスに、口だけ上手いのが弁護士か?とミニョクは一蹴するが、気分がいいハンスは続ける。

「俺は納得がいかない人々のための良心的な弁護士になるつもりだ」
「俺は口だけ上手い弁護士は嫌だ」

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※日本語字幕あり

ハンス「決めた!俺は弁護士になる!」
ミニョク「勉強してから言え」
ドンジュン「俺が見る限り、無理だろ」
ギテク「俺が見る限り、余計なお世話だ!」
ハンス「今日から勉強するんだ!」
ミニョク「三日坊主のお前がどこまでやれるかな」
ハンス「やればできる!」

法廷で会おう。検事!弁護士!と握手をするふたり。性格は違えどいいライバルであり、親友であるハンスとミニョク。お互いが、公正な弁護士、検事になろうと誓い合う。そんな自分達の姿を見てふと思いついたらしく、ドンジュンが嬉しそうに言う。

「俺達ミュータントタートルズみたいだな!」

4人いるし!と続けるドンジュンに、ほんとだ!と乗るギテク。ミュータントタートルズに登場する掛け声「コワ!ブンガ!」とともに決めポーズをとるふたり。


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(参考画像)


ちなみに配役は以下の通り。

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ハンス:レオナルド(リーダー)

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ミニョク:ドナテロ(ブレイン)

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ギテク:ミケランジェロ(多才)

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ドンジュン:ラファエル(筋肉)

いやこの説明いらんくない?とも思ったけどせっかく設定としてあるので共有しておきます。笑 ドナテロ大好きなのにコワブンガポーズには乗ってこないミニョクが可愛い。基本ミニョク贔屓でお送りしております。


勉強は苦手だが活発で明るく、漫画の中のヒーローのように正義の使者になりたかったハンス。真面目だが正義に対して熱い想いを抱いていて、正義の女神ディケのように法の守護者になりたかったミニョク。小説の中の探偵のように真実を明かして世界に知らせたかったギテク。映画の中の俳優みたいに悪党を倒して弱者を救いたかったドンジュン。子どもの頃から一緒に育んできた夢を叶え、ハンスは弁護士に、ミニョクは検事に、ギテクは記者、ドンジュンは警察になる。


この4人のわちゃわちゃが可愛すぎる。スンホンミニョクが身長で威嚇するのが可愛い。ミヌハンスはライバル心バリバリだからスンホンミニョクの隣に立つときはずっと背伸びしてたりするのも可愛い。スンテクハンスは、子どもの頃の夢!の決めポーズが可愛すぎる。アイドルかな。あと裁判ごっこでスンホンミニョクがドンジュンに確認する時の「〜죠?(〜ですよね?)」の言い方が可愛すぎる。語尾が上がる。大人になってからは絶対そんな言い方しないから、子ども感があって尚更可愛い。「〜습니까?(〜ですか?)」も語尾上がるの可愛い。




それぞれの道を進み始めたハンスとミニョク。ハンスは、ある弁護士事務所にスカウトされる。そこはハンスが学生の頃から大ファンだったチェ・クァンヨル弁護士が代表である事務所だった。       

場面は事務所。ラーメンを持って入ってくるクァンヨル代表。仕事をしていると、かかってくる一本の電話。

「見つけましたか?……ああ、引き続きよろしくお願いします」

残念そうに返し、また書類に目を通し始めるクァンヨル。そこへ目を輝かせて事務所に入ってくるハンス。こんにちは!と元気に挨拶をするも、クァンヨルは仕事に熱中していて気づかない。もう一度挨拶をすると、ようやく気付いて笑顔で出迎えるクァンヨル。


何でもない風にインスタントラーメンを丸かじりするソンジェ代表を初めて見たときはほんとに笑った。シミョン代表もかじるようになったんだけど、ミヌハンスが入ってきてもやめないからドン引きして入口まで戻るのも笑った。食べすぎてるから何言ってるかわからなくて、「よく聞こえません」って言うミヌハンス強いし、「よかったら」って半分に割ったラーメン勧めるシミョン代表も強い。どんなに断っても押し付けられるから諦めて受け取った結果、ジャケットにラーメン入れようとするけど入るわけもなく、「入りませんでした……」って勝手に器に戻すミヌハンス。ここどんどん自由になってるからどんどん好き勝手やってほしい。笑 ちなみにスンヒョン代表はラーメン持ってこない。


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学生時代からクァンヨルのファンだったハンスは、喜びを隠せない。実はファンだったんです!かっこいい!と満面の笑みを浮かべつつ、でも何で僕を選んでくれたんですか?と尋ねるハンス。

論理的思考、分析、答弁の技術
それが弁護士を選択する基準

スンテクハンスは自分にその技術がない自覚があるから落ち込むけど、ミヌハンスは他人事のように、へーって聞いてる。なんなら指折り数えながら何か考えてる。

しかしそれが全てだろうか?と笑うクァンヨル。ロースクールの模擬裁判コンテストで情熱的な弁護をするハンスを見て、心を動かされたというのだ。その時はつい感情的にオーバーな弁論をしてしまって、と言うハンスに、いや、久しぶりにあんな情熱的な弁護士を見たからよかったよ、と褒めるクァンヨル。実際、そのクァンヨル弁護士も良心に従った熱い弁護をする人物だった。

人の上に人はおらず
人の下にひとはいないだろう
私達はよく似ている
私は君が必要だ
君にも私が必要だろう
私達が手を取り合えばこの醜悪な世界を変えることができる


代表に助けられながら、初めての裁判に挑むことになるハンス。初仕事は飲酒運転事故の弁護だったが、ハンスは見事に熱い弁護を繰り広げ、無罪を勝ち取る。その後も次々に無罪を勝ち取り、弁護士としての階段を駆け上がっていく。(8/16追記:全て無罪というわけではなく、無罪だったり刑期を軽くしたりといった形とのこと。10年求刑したところ。2年、など)一方ミニョクは検事としてハンスと対峙することになるが、罪のない人間を殺した殺人犯や事故の犯人など明らかに有罪である人間達を弁護し、無罪にしていくハンスに、検事としても、親友としても疑問を抱く。何でこんな弁護をするんだと迫るミニョクだが、感情的に動いてるわけじゃない、証拠を元にやってるんだ。(8/21追記)感情的にならずに証拠を持ってこい。と一蹴されてしまう。すれ違っていくふたり。

順調に弁護士街道を歩いて行くハンスだが、ある日、飲酒運転事故で弁護をしている被疑者がハンスに会いに来る。見事な弁護を褒める被疑者に愛想笑いを返すハンスであったが、俺は酒を飲んでも上手く運転できるんだ、と飲酒運転を認める発言をする被疑者。あの時は仕方なかっただろう、と笑い、最後まで上手く弁護してくれよ、と去っていく。悪態をつくハンスのもとに、現れるミニョク。


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※日本語字幕あり


裁判を諦めろ。そういうミニョクに、ハンスは言い返す。正義に対して同じ想いを抱えていたはずのふたりだが、真っ向からぶつかることになる。

「正義の弁護士」
「正義の検事」
「何が違う?」
「何が違うって?自分の良心に聞け」
「結局一緒だ」
「完全に違う」

お前が最近担当している事件達、本当の弱者が誰なのかくらいお前はわかっていると、俺は思っていたのに。そのミニョクの言葉を最後に、結局分かり合えないまま別れるふたり。

ずっと違う歌詞と音程で歌っているのに「社会の正義の実現という同じ目標の下で」という歌詞だけ綺麗に声が重なっているのがまた切ない。一緒に正義のために夢を抱いてきたはずのふたり。今も目標は変わらないはずなのに、すれ違ってしまうハンスとミニョクの姿をうまく表現してると思う。


気持ちが晴れないまま、弁護をした犯罪者に会いに刑務所に行くハンス。静かに言い争うハンスと犯罪者。もし俺が被害者の家族だったら、お前が早く刑務所から出てくることを祈るよ。何故って?この手で殺すためだ。そう言い残し犯罪者と別れたハンスだったが、その後、自分が担当した事件の被害者すべてが17歳か6歳であることに気づく。


場面は事務所。不穏な空気の中、クァンヨルが座っている。

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忘れてしまった希望も燃えるだろう
人間が夢見る理想 ユートピア


チェ・クァンヨル事務所を訪ねてくるミニョク。ハンスが担当した事件のおかしな共通点に気づき、調べにきた様子。友好的な態度の代表に反して、取りつく島のないミニョク。

「とても忙しそうですが、ご家族とはよく過ごせていますか?」
「私生活のことまで話さなければいけませんか?」
「いえ、他でもないうちのキム弁護士との裁判で大変かと思いまして。キム弁護士とは、仲のいい友人関係と聞きました」
「友人は友人、仕事は仕事ですから」
「そうだ、せっかくなら正義のために働く者同士、今度3人でサウナでもいかがですか?」
「暑いところは嫌いなんです」

ミニョクの手をとった瞬間、顔色が変わる代表。ハンスが担当した事件の被疑者達が失踪している。と、詰め寄るミニョク。ハンスが関係しているわけがないと信じ、真実を暴きにきた様子。

疑問の失踪
一瞬で煙のように消えてしまった人々
疑問の事件
弁護を担当していたキム・ハンス
疑問の失踪
事故なのか 殺人なのか わかりえない
疑問の事件
被疑者がいない
俺は信じている
絶対にそんなはずがない 俺の友

しかし代表は、ひとつの幸せだった家族の話を始める。両親を殺され、家を燃やされ、離れ離れになった兄弟の話を。ずっと待っていた、ようやく見つけた、弟よ、と呼ばれ動揺するミニョクは、兄さんは死んだんだ、と顔面蒼白で去っていく。クァンヨルの首にある火傷と、腕に残るミニョクの火傷の跡は、兄弟を決定づけるものだった。

ネチング、でそこに存在していないハンスを見つめるミニョクの瞳が力強くて泣ける。クァンヨルは序盤、法廷でハンスに食ってかかるミニョクを見て表情が変わって、複雑な顔でずっとミニョクを見つめてるから、そこで気づいたのかなと思っている。だから家族についても聞くし、火傷の確認のためにわざと腕を触りながら話をする。ミニョクが暑いところが嫌いなのは、きっと幼いころのトラウマ。

一方、友人である新聞記者ギテクに呼び出されるハンス。自分が担当した事件の被疑者達が失踪しており、何故か失踪届が提出されていないという事実を伝えられる。そして28年前のある家族の事件を。そしてその被害者の年齢が17歳の兄と6歳の弟であることを。信頼していた代表が事件に関わっており、そしてその生き別れた弟がミニョクであるという事実を知り衝撃を受けるが、そのまま代表に会いに行くハンス。事務所の入り口で悲壮な顔をしたミニョクとすれ違い代表に聞くが、検事と弁護士が知らない関係である方がおかしいだろう、とはぐらかされる。気になってることがある、と切り出すハンスに、失踪した人間なんて関わらない方がいいと諭す代表。君が心配なんだ、と。いえ、最後まで追及します、と引かないハンス。失踪なんて僕は一言も言ってないですけどね。とも続け、引く気は全くないところを見せる。ところで代表、もしかして弟がいますか?と言い残して去るハンス。

何かがあると確信し、今まで担当した事件達の被疑者の家を訪ねて回るハンス。

(8/16:追記)
被疑者の家族や友人の家を訪ねて回った結果、彼らが被疑者の失踪を知らないという事実を知る。クァンヨルに仕事を斡旋してもらい、海外で働いていると思っていたのだ。労働の対価としてのお金も振り込まれているという。(仕送り?)家族に頼み、通帳を見せてもらうハンス。そこに記帳されていた入金者の名前は、「キム・ハンス」だった。

そこで、自分が利用されていたことを知る。新聞記者ギテクに教えてもらった情報を元に、以前自分と同じようにクァンヨル事務所で働いていた先輩のもとを訪ねるが、車椅子に帽子で顔を隠したその人は何も語ろうとしない。クァンヨルのことをよく知っている唯一の人物なんです、助けてください。そう懇願するハンスに、その元弁護士は語り始める。そしてクァンヨルのせいでこんな目に合ったのだと、焼けただれた顔を見せる弁護士。クァンヨルは17歳と6歳の被害者達に、事件に遭った当時その年齢であった自分と弟を重ね、復讐を続けてきたのだった。他の弁護士を使い、無実の子ども達を殺した被疑者を無罪にしたり減刑させ、自らの手で殺し、燃やしてきたチェ・クァンヨル。しかしその弁護士が疑問を抱き始めたため不要になり、消そうとしたのだった。クァンヨルは死んだと思っているが、何とか生き延びた弁護士。全く同じ境遇にいることを知るハンス。信じられない、とその場を走り去る。目の前の事実を受け入れられず、誰のための、何のための正義なのだと思い悩むハンス。

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※日本語字幕あり


何なんだ この感じは
何なんだ この不安は
どうすべきなのか
どうしたらいいのか
ここはどこなのか
信じることができない 目の前の事実
何のための 誰のための正義なのか


一方ミニョクも目の前の事実に思い悩む。そして弟と再会したクァンヨルもまた、苦しむ。

もしもその時誰かが僕達を守ってくれていたら
こんなことにならなかっただろうか

(8/22:追記)
ぼんやりと憶えている あの日のこと
大きい体で不便でも僕のため
タンスの中が好きだった僕のため
僕をぎゅっと抱きしめて寝ていた兄さん
幸せな瞬間 聞こえてきた足音

生々しく思い出されるその日の出来事
まともではない人を殺した悪魔を
確かに見たあの日のことを証言したのに
歪んだ法にそっぽを向かれた証言
最後の瞬間聞こえてきた判事の棒の音

最後の瞬間 聞こえてきた足音
私たち兄弟は世界に捨てられた

その瞬間僕の口を塞いだ兄さんの手
僕の体を締め付けるような心臓の音
僕の顔に落ちた涙 滴の数まで
ぼんやりと憶えて あの日の事たち

誰かは僕に言う
覚えてないから
こうやって生きてこれたのだと

世間は言う
覚えているから
こうやって生きていくのだと


そんな中、ハンスはクァンヨルの手によって暴行を受けるが、なんとか助かり、友人ギテク、ドンジュンによって安全な場所に連れて来られる。そこへミニョクが現れ、大丈夫か!?と駆け寄るが、不信感に満ちているハンスの表情は険しい。

「お前、あの人に会ったのか?イ・ジョンチョル(元弁護士)」

チャ・ミニョク、いやチェ・ジェヨル。とミニョクの腕を捲り火傷のあとを露わにしたハンスに、やめろ!と叫ぶミニョク。本当に知らなかったんだろうよ、お前は何も。そう皮肉げに続けるハンスにミニョクは何も言えず、顔を覆う。

「お前の兄貴が何をしたか知っているのか!」
「ミニョクは本当に兄貴に会って時間が経っていないみたいなんだ」
「ミニョクにも考える時間をくれよ」

声を荒げるハンス。ギテクとドンジュンが止めに入るが、その声は届かない。

「なあお前、前、俺に言ったよな?
助けちゃいけない人間を助けてるって。
だけど今、助けちゃいけない人間はお前の兄貴だ。
しっかりしろチャ・ミニョク!」

お前の兄貴はお前の手で直接捕まえろ。そう言い残して去るハンス。残されたギテクは、ミニョクが子どもの頃に大事にしていたドナテロのフィギュアを握らせて、

「俺はお前を信じるよ。もし知ってたなら俺にチェ・クァンヨル事務所に行ってみてくれなんて頼むか?」

ハンスが担当していた事件に疑惑を抱いていたときに、新聞記者であるギテクにクァンヨルのことを探ってほしいと頼んでいたのだった。警察である友人ドンジュンも、俺達はお前を信じるよ、と。

「あ、そうだ。そういえば不思議なことにチェ・クァンヨルの事務所にドナテロを除いた3匹のカメが置いてあったんだ。星のついた。」

弟が好きだったミュータントタートルズのフィギュアを買い、ドナテロだけは置かなかったクァンヨル。恋しく思いながらも、ミニョクの大好きだったドナテロの場所は、ミニョクの場所だ、と埋めることをしなかった兄。(8/21追記)大事にしている物に小さく星を書く癖があった幼い頃のミニョク。つまりドナテロ以外の三体もミニョクのもので、焼け跡から見つけ出したもの?残されたミニョクはドナテロを見つめながら、ひとり葛藤する。避けたかった、消したかった子どもの頃の記憶。忘れていた兄が、今は目の前に殺人者として存在している。法は平等であるべきだと思っていたのに、兄を目の前にして揺れていることに対して、腹立たしく醜悪な僕の正義と嘆くミニョク。

ここのスンホンミニョクが回を増すごとにボロボロになっていって、こっちまで泣いてしまう。クァンヨルの方を向いて手を伸ばすんだけど、殺人者と兄という葛藤の中で手をおろして拳を握りしめる姿が切ない。



場面は代わり、捕らえられたハンス。

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代表の事務所に連れて来られ、すべてを忘れるか、ここで死ぬか選択を迫られる。この世界の正義は結局これだったというのか?こんなことはもうやめろと訴えるハンスだが、世界が変わることはない。審判者が必要なのだ。とクァンヨルが止まることはない。間一髪のところで、ハンスを助けに来るミニョク。ハンスの腕にかけられた縄をほどいて捨てたあと、検事として、クァンヨルに対し、緊急逮捕を宣言する。宣言したあと苦し気に歪むミニョクの顔を見て、諦めたように、どうせ私の人生は、両親とお前を失った時に消えてしまったんだ、と寂しげに告げるクァンヨル。

しかしお前を見つけたから、もう全て終わらせようと思っていたのに。お前が、私が生きる唯一の理由だったから、ジェヨル。

ミニョクの本当の名前を呼ぶクァンヨル。

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※日本語字幕あり

俺があなたにとって生きていく理由だったなら、あなたが殺した人達もまた誰かにとっての理由だったはずだ。生きていくための。

苦しげに伝えるミニョク。

あなたと僕 復讐という名前で
あなたと僕 兄弟という名前で
もうやめろ 止まってくれ
もしあの時に戻ることができたなら
もし僕達離れることがなかったなら
もし再会することがなかったなら
もしも もしも

お前と私 復讐という炎で
お前と私 兄弟という松明で
炎の中でお前を失い 炎で報いてきた復讐
もし私達の運命が燃えることがなかったなら
もし私達が離れることがなかったなら
もしも もしも

あなたと俺 傍観者が作った地獄
お前と俺 知りえない皮肉な正義
終わりなき選択の運命
もし誰かが手を差し出していたなら
もし他人の生を見つめる勇気があったなら
俺達は何を言わなければならないのか

行き詰った崖の道
これ以上行くことはできない
避けることのできない運命
もう全て終わらせなければならない


もう終わりだと、炎の中に突っ込んでいくクァンヨル。

場面は裁判所。検事として兄を起訴するミニョク。目に涙を浮かべながらも淡々と兄の罪状を挙げていく。9人を殺害した罪で、死刑を求刑。そして弁護はハンス。28年前の事件での被害者であること。心身薄弱という理由で犯人に重い刑が課せられなかったこと。この国の法律がチェ・クァンヨルという怪物を作ったのではないのか、そう陪審員に投げかけるハンス。考える時間を与えます、という裁判長の言葉を最後に、休廷。


スンホンミニョクは死刑を求刑したあとに自分の席に戻って泣きそうな顔でクァンヨルを見つめるんだけど、ソンジェクァンヨルは穏やかな顔でミニョクの方に向き直り、わかってる、とばかりに頷くのが泣ける。あとこれは一回しか見たことないけど、ミニョクが席に戻る前にハンスと向かい合って、ハンスが深く頷く演技も好きだった。ミニョクは自分の正義に従って検事の仕事を全うするけど、当然死刑になんてなってほしくない。死刑を求刑する前に一瞬涙で言葉が継げなくなった回もあった。だから、ハンスの弁護がうまくいくことを祈るしかないし、ハンスはミニョクのその気持ちもわかってるし、ハンス自身もクァンヨルに死刑になってほしくないはず。すれ違いばかりだった親友ふたりが最後に大切な人を裁く裁判で心をひとつにするというのは少し皮肉な気もするけど、少なくとも私はいい結末だと思う。


クァンヨルの冒頭での電話は弟の所在を探してもらっている相手からのものなんだけど、それに気付いて2回目を見るとまた切ない。本当にずっと弟のことを探していて、弟の存在だけが生きる理由だったんだなと。これは勝手な憶測だけど、ハンスに生か死か選択をさせたのは、大事な弟の友人だからなのかなと思ったりもした。どっちにしろ黙って身を引くなんてしないってことは、よくわかってたと思うけど。



切ないラストに寂しいままのカテコ。スーツはかっこいいけどもう少し楽しい感じにならんかなとわがままを言っていたんですが、オタク達の心を察してくれたかのようにカテコが変更に。マルチ(いろいろな役をやる人、ギテクとドンジュンもマルチの人が演じる)のキム・ジョンニョンさんとクァンヨル代表とで「スカウト」を歌ってから、学生時代の恰好をして「世界よ、かかってこい」を歌う4人組。私この4人のこの歌が好きすぎて、いつか動画にならんかななんて思ってたのでカテコ変更初日は本気で泣きそうでした。聞かれてない。学生ミニョクのめがねにカーディガン可愛すぎる。そしてカテコなので本編より自由で、みんな可愛い。本気でナイステコ入れだと思う。みんなブラックスーツ観て動画撮ってシェアしてほしいです。邪。というわけで最後にカテコ動画載せておきます!ひとりでも、ちょっと気になりだした~って方がいらっしゃったら幸せです。

youtu.be

スンホンくん可愛い!!!!!!!!!!!!